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September 2009 の記事

Atom と比べてみました。
あくまで参考程度でお願いします。

  ALU    FPU    MEM1   MEM4
  9.32   5.17   4.24   3.20     (1)  Core i7 920 2.67GHz
 29.41  29.36  43.83  27.43     (2)  Atom Z540 1.86GHz
 68.68  68.73  46.70  36.45     (3)  Atom Z540 800MHz
 42.88  44.09  39.45  20.03     (4)  Atom N270 1.60GHz
 37.82 209.76  56.35  30.68     (5)  Cortex-A8 800MHz NEON
 37.84 209.79  58.17  30.69     (6)  Cortex-A8 800MHz VFP
 37.83 252.80  56.34  30.75     (7)  Cortex-A8 800MHz soft
 42.96 211.02  55.86  30.52     (8)  Cortex-A8 800MHz NEON + Thumb-2
 42.85 212.18  55.87  30.53     (9)  Cortex-A8 800MHz VFP + Thumb-2
 42.92 267.23  55.84  30.54     (10) Cortex-A8 800MHz soft + Thumb-2

単位は秒、値が小さい方が高速

テストは基本的にただのループかつシングルスレッドのみです。
数値は Real Time なので厳密なコードのみの実行速度ではないです。

ALU 全部キャッシュに収まる整数演算とループ
FPU スカラーの浮動小数演算を含んだループ
MEM1 8bit 単位のメモリアクセス
MEM4 32bit 単位のメモリアクセス

(5)~(10) が NetWalker です。
浮動小数演算以外はほぼ Atom と近い範囲で、クロック差があるにもかかわらずかなり
善戦しています。おそらく整数演算に関してはシングルスレッドかつキャッシュに入る場合、
同クロックの Atom よりも高速です。

ただし実際の動作速度は CPU core の速度だけでなく、メモリや SSD 等他のデバイスの
影響が大きいので、これだけで判断することは出来ません。

また Atom は HT 前提のパイプライン設計なので、シングルスレッドではその性能を
出し切れていないともいえます。
同じように (1) の Core i7 も 8 スレッドのうち 1つだです。ちなみに (1) は
同時に VirtualBox の仮想 PC が動いていたりとかなりの悪条件で走らせました。

計測も Real 時間なので、バックグラウンドで動いているタスクの影響を少なからず
受けているといえます。この場合 HT を持っている Atom の方が若干有利に働くかも
しれません。

(3) は Z540 の電源設定を変更して、上限 800MHz で動かしたものです。
ALU FPU 時間はクロック数に比例して遅くなりました。MEM1/MEM4 はそれほど変化が
ないようです。この点から MEM1/4 の実行速度は CPU core の速度度よりも、メモリ
アクセス時間の割合の方が大きいと考えられます。

(2)/(3) と (4) はクロック比と速度が一致していません。これはおそらくコンパイラ
の差です。最適化の傾向が異なっており、ループ内の演算に無駄があり畳み込める
条件では gcc の方が高速でした。また VC は SSE 命令を使っており、gcc は
-msse4 をつけても FPU 命令に展開されています。

MEM1 は 1byte 単位で 32MByte を読み書きしています。
MEM4 は 4byte 単位で 64MByte アクセスしています。
よってループ回数は MEM4 が半分になります。
(4) の結果を見ると MEM4 は MEM1 のちょうど半分の時間で完了しているので、
このテストではデータサイズが速度に影響を与えていないようです。

浮動小数演算はただのスカラー演算です。遅すぎて、設定ミスとか例外が発生してるの
ではないかと疑いました。一応 vfp,neon,soft と 3通り試しています。
取りあえずエミュレーションよりは速いことがわかります。
きちんと SIMD を活用すれば、もう少しそれなりの速度が出るのかもしれません。

Thumb-2 の効果は確認できました。16/32bit 命令が混在しており、FP 命令呼び出しも
特に速度が落ちていないようです。

浮動小数演算以外は思ったよりも速いです。浮動小数演算が著しく遅いのは、
プログラムのミスなのかまだ良くわかっていません。

ARM の浮動小数演算に関しては下記ページを参考にさせていただきました。
ひまじめ 組み込みLInux


(2009/09/30 追記) 続き>> NetWalker PC-Z1 Cortex-A8 浮動小数演算の実行速度


(1) PC
Core i7 920 2.67GHz
Windows7 RTM x64, VC2008 x86 -arch:SSE2

(2) VAIO type P
Atom Z540 1.86GHz
Windows7 RC x86, VC2008 x86 -arch:SSE2

(3) VAIO type P
Atom Z540 1.86GHz (800MHz)
Windows7 RC x86, VC2008 x86 -arch:SSE2

(4) EeePC 901
Atom N270 1.6GHz
Ubuntu 9.04 x86, gcc-4.3.3 -mssse3

(5) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz NEON
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=softfp -mfpu=neon

(6) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz VFP
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=softfp -mfpu=vfp

(7) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz soft
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=soft

(8) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz NEON + Thumb-2
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=softfp -mfpu=neon -mthumb

(9) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz VFP + Thumb-2
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=softfp -mfpu=vfp -mthumb

(10) NetWalker PC-Z1
i.MX515 Cortex-A8 800MHz soft + Thumb-2
Ubuntu 9.04 armel, gcc-4.3.3 -mfloat-abi=soft -mthumb

(2009/09/30 追記) 続き>> NetWalker PC-Z1 Cortex-A8 浮動小数演算の実行速度


関連エントリ
NetWalker PC-Z1 Bluetooth とキーカスタムその他
NetWalker PC-Z1 意外にいける
Netwalker PC-Z1 買いました
タッチタイプの境界
NetWalker PC-Z1


●Bluetooth

Bluetooth アダプタ Princeton PTM-UBT3S, PLANEX BT-Mini2EDR を使ってみました。

・システム → システム管理 → Synaptic パッケージマネージャー
・gnome-bluetooth をインストール指定 → 適用
・いったんログアウトして再ログイン

アダプタを接続すると通知スペースに Bluetooth のアイコンが表示されるので
そこからペアリング等を行います。または システム → 設定 → Bluetooth 。

ペアリングしたもの。
マウス SONY VGP-BMS33, キーボード REUDO RBK-2100BTJ

二回ほどサスペンド後にアダプタを認識してないことがありましたが、
電源入れ直し等で復活。以降は今のところ動いています。


●キーボード

購入時からキーボードの配列のカスタマイズを考えていました。
本当は uinput を使いたいのですが module uinput.ko が無かったので取りあえず
xmodmap を使います。

$ xmodmap -pke > $HOME/.Xmodmap

以降 .Xmodmap の書き換えでキー配列の入れ替えができます。
書き換えた内容はログインし直しで適用されるはずです。
その場で確認するなら

$ xmdomap $HOME/.Xmodmap

上のコマンド実行だけだとサスペンド後に配列が戻ってしまいます。
再ログインしておけばサスペンド後も有効となります。
$HOME に .Xmodmap で始まるファイルが複数ある場合、ログイン時にどれを用いるか
選択画面が出ます。

実際に設定してみます。
例えば [/?] (61) と [;+] (47) を入れ替えるなら 61 と 47 を交換します。

!keycode  47 = semicolon plus semicolon plus semicolon plus
keycode  61 = semicolon plus semicolon plus semicolon plus

!keycode  61 = slash question slash question slash question
keycode  47 = slash question slash question slash question

Shift や Control キーを入れ替える場合はモディファイヤの再登録が必要です。

[ J ][ K ][ L ][/? ][Ent]
 [ M ][<,][>.][ ↑ ][Sft]

  ↓

[ J ][ K ][ L ][;+ ][Ent]
 [ M ][<,][>.][ /? ][ ↑]

例えば内蔵キーボードの右下部分を上記のように並べ替えるには

! ファイル先頭で remove
remove shift = Shift_R

!keycode  47 = semicolon plus semicolon plus semicolon plus
keycode  61 = semicolon plus semicolon plus semicolon plus

!keycode  61 = slash question slash question slash question
keycode  111 = slash question slash question slash question

!keycode  62 = Shift_R NoSymbol Shift_R NoSymbol Shift_R
keycode  47 = Shift_R NoSymbol Shift_R NoSymbol Shift_R

!keycode 111 = Up NoSymbol Up NoSymbol Up
keycode 62 = Up NoSymbol Up NoSymbol Up

! ファイル最後で add し直し
add shift = Shift_R


●キーボードカスタマイズ uinput

User Input を利用するとプログラムでキーの挙動をカスタマイズすることが可能です。
下記のページを参考にさせていただきました。

Linux Input Subsystemの使い方

x86 PC の Ubuntu 上で試してみました。
入力を遅延判定させた場合のバッファリングとかそのフラッシュなど、Windows /
WindowsMobile 上で ctrlswapminiem1key を作っていたときとほとんど同じ感覚です。
おそらく同等のプログラムの移植も可能だと思います。
日本語入力の状態が取得できれば親指シフト入力も対応できるでしょう。

(2009/10/03 追記: 親指シフトについてはこちらをどうぞ)

NetWalker 向けのプログラムも作ったのですが uinput が使えずまだ試しておりません。
実際のプログラム例は下記の通りです。
これは [A] と [B] を交換するだけです。サンプルにあった hook_main.c/.h をそのまま
使わせていただきました。hook_main.c をリンクするだけで動作します。

// swap_AB.c
// swap_AB /dev/input/event*
#include  <stdio.h>
#include  <linux/input.h>
#include  <linux/uinput.h>
#include  <sys/ioctl.h>
#include  "hook_main.h"

const char*  name= "swap_AB";
const char*  version_information= "swap_AB";
const char*  description= "swap_AB";

static int   keyboard_fd= 0;

void* init_event_handler( int number_of_event_device_files, int* event_fds )
{
    ioctl( keyboard_fd= *event_fds, EVIOCGRAB, 1 );
    return  NULL;
}

void finalize_event_hander( void* user_data )
{
    ioctl( keyboard_fd, EVIOCGRAB, 0 );
}

void handle_event( int fd, struct input_event event, void* user_data )
{
    int	vk= event.code;
    if( event.type == EV_KEY ){
        switch( vk ){
        case KEY_A:
            vk= KEY_B;
            break;
        case KEY_B:
            vk= KEY_A;
            break;
        }
    }
    send_event( event.type, vk, event.value );
}

void set_event_bits( int ui_fd )
{
    int	i;
    ioctl( ui_fd, UI_SET_EVBIT, EV_KEY );
    for( i= 0 ; i< 256 ; i++ ){
        ioctl( ui_fd, UI_SET_KEYBIT, i );
    }
}


●その他気がついたことなど

最初すぐにバッテリーが減ったように見えるけど、ステータスでは「バッテリー容量:中」。
容量とアイコンの見た目が合っていません。

フラッシュメモリの容量は 4GB ですが、初期状態の空きはおよそ 2.7GB でした。
カタログには「ユーザーエリア 2GB」と書かれているので若干余裕があります。

RAM 容量は 512MB、利用可能な空間は 480MB。
Firefox、ドキュメントビューア、コンソールを起動して消費メモリは 200MB くらい。
ページを複数開いてもまだまだ大丈夫です。

「パネルへ追加」から「CPU 周波数の計測モニタ」を追加してみました。
CPU クロックはピーク時 800MHz で、アイドル時は 160MHz まで落ちているようです。

上パネルの時計の設定から都市を登録しておくと天気や温度も表示されます。

[Fn]+[8] で画面のバックライトだけ消すことが可能です。

黒い色を買ったせいか汚れは結構目立ちます。
ストラップをつけられるのは便利です。手でもって使う場合も安心。

仕様一覧によるとフレームバッファは 16bit 65536色です。


関連エントリ
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Netwalker PC-Z1 買いました
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NetWalker PC-Z1


二日ほど使った感想は「結構良い」です。
意外といったら失礼かもしれませんが、いろいろな面で見直しました。


●両手で持つ

前回書いたとおりネット接続はあまり考えてなかったのですが、使ってみたらこれが快適でした。
無線 LAN さえあれば立っていても横になった状態でも楽にブラウズできます。

・両手持ちしたときちょうど良い位置にあるオプティカルポイント。ほぼこれだけで操作できる。
・ちょっとした検索文字列の入力なら十分役に立つキーボード。
・小さいけど十分な解像度の液晶画面もあるしフォントも見やすい。
・NetBook より軽量で持ち上げられる。
・熱も持たずにバッテリーの持ちも良い。
・中断も DS のようにふたを閉じるだけ。電源を入れるとすぐに復帰する。

電車内でもモバイルルータ併用で立ったまま使ってみました。これも思いのほか使いやすい。
Firefox でネットを見たり、電波の届かない地下鉄区間もメモ打ちしたりと便利に使えます。

以前使っていたスマートフォンで、親指タイプには苦手意識がありました。
W-ZERO3[es] や EM・ONE は、クリック感はあるものの小さくて堅い QWERTY キーで、
爪で押す必要があったり、ボタンが浅いので隣のキーを押してしまうことも多かったからです。
逆に W-ZERO3[es] のテンキー部分は指で押せる大きさで打ちやすいものでした。

同じように NetWalker のキーも指の腹で押せるし、親指ならぐらつくキートップでも確実に
打てるため、それなりに使いやすいことがわかりました。
キーを押し下げた場合の感触はいまいちで引っかかりがあるけれど、親指打ちも結構いけるんだと、
今更ながら気がついたというのが本音です。

ただ両手持ちの親指打ちだと、中央付近のキーは少々遠く感じます。
端ぎりぎりまでキーがあるし Fn や Ctrl を併用する操作は慣れがいるかもしれません。
親指タイプとタッチタイプの両用を欲張ったための弊害でしょう。

この辺の操作は今後のカスタマイズで何とでもなると思います。
むしろ変にメーカー固有のカスタマイズが入ってない素のパソコンキーボード状態なのは
好ましいことです。


●オプティカルポイント

マウス代わりに用いるデバイスです。
タッチパッドのように指でスライドしてカーソルをコントロールします。
反応が良くてきびきび動いてくれます。

PC-NJ70A の光センサー液晶パッドは反応が悪くて使いづらかったので、なおさらそう感じる
のかもしれません。また比較対象があれですが、PS3 ワイヤレスキーパッドのタッチパッド
モードより思い通りに動かせます。

デフォルト状態では少々カーソルの動きが速すぎる感じがします。ウィンドウの切り替えや
ダイアログのボタン、ブラウザの操作は快適なのですが、小さいアイコンやスクロールバーに
正確にあわせるのは苦手です。
使うアプリケーションや用途次第だと思いますが、個人的にはブラウザの操作だけなら
これで十分でした。

設定でマウスの速度や感度を多少いじっています。間違って「☆」マークに触れてしまうと
誤動作するので、スクロールモードに切り替わらないようこちらも封印しています。


●アプリケーション

開発環境を用意したり、アプリストアを設けたり、最近そういう試みが増えた気がします。
携帯 OS に限らずありとあらゆるプラットフォームで。
開発側、使う側、両方の敷居を下げる意味があるのでしょう。
iPhone のような盛り上がりをどこか期待している反面、専用アプリを用意しなければいけない
と言う現実問題がそこにあるのかもしれません。
結局開発者に投げてしまっているわけで、実際にアプリケーションがどれだけ充実するのか未知数です。

NetWalker は普通の Linux を採用したおかげで最初から豊富なアプリケーションが揃っています。
インストールも一覧から選択するだけで簡単です。
以前 WindowsCE の Handheld PC を使っていた頃も使えるアプリケーションソフトが限られて
いました。Desktop 向け Windows がそのまま動くなら何の心配もないのですが。

もう1つの利点は削除された機能がないことです。
モバイル向けの移植ではないので、操作や機能が簡略化されていたり、削られているような
ことがありません。

MID としてみたら上記 2点はメリットですが、UMPC としてみたらこれらはごく当たり前の
ことかもしれません。
そういう意味では NetWalker は MID のカテゴリとして売られているけど、
実質 ARM を使った UMPC の一種だと言えます。


●キーボード

個性だと割り切っています。


●最後に

NetBook が流行し多くの機種が販売されていますが、どれも EeePC に倣ったかのような
画一的なスペックで意外に個性がないように見えます。おそらくコストの事情もあるのでしょう。
本当なら用途を特定したような、もっとユニークなデバイスが登場しても良さそうです。
ASUS のキーボード一体型みたいな。

MID / UMPC にはまだお手本となる大ヒット機種がないせいか、比較的個性を出しやすいようです。

NetWalker を店頭で熱心に見ていると、店員が「おすすめしづらい」製品だと漏らしていました。
過去の経験に当てはまらず具体的な用途を想像しづらいのかもしれません。
「今まで無かった新しいもの」 かまたは 「本当に用途がわからないもの」 のどちらかでしょう。
うまく説明できないものこそ新しいジャンルを切り開く可能性もありますが
果たして NetWalker はどちらになるでしょうか。

個人的にはスマートフォンの機動性を確保しつつ十分使えるパソコンだと認識しました。


関連エントリ
Netwalker PC-Z1 買いました
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NetWalker PC-Z1


NetWalker は Linux 搭載ミニ PC です。
ARM 系 CPU に Ubuntu がそのまま入っています。
本体は小さいながらキーボードを搭載し、約 400g と軽量でバッテリーも長持ちします。

逆に欠点も多く、価格が高めであること、限られたフラッシュ容量や Bluetooth が無いなど
スペックも低め、なかなか言うことをきかないキーボードなど、思ったより使う人を選びます。

はじめて触ったのは2日前。
ホームポジションにぎりぎり指が乗るだけのキーピッチがあるのに、あまりにも思うように
タイプできなくて店頭で 30分くらい奮闘。力を入れて意識して打てば
何とか文字抜け無しに打てるといったところ。
一時は諦めたけど、ずっと気になっていて結局買ってしまいました。


●外観

実測で 401g ありました。見た目は電子辞書。
Netbook と比べても PC らしからぬ印象なのは、通風口がまったく無いせいかもしれません。
ファンレスは当然として側面も裏面もスリット無しです。


●電源

スマートフォンやかつての Handhed PC のように、電源切断 = サスペンド (スリープ) 推奨
と書かれています。シャットダウンとの違いは同梱のパンフレットにも説明があります。
3秒起動なのはサスペンドからの復帰のこと。スリープを使えば Windows PC でも同じ
ですが、サスペンドを常用できるくらい省電力だということなのでしょう。

シャットダウン状態からの起動はそれなりに時間がかかります。
バッテリー動作で実測 1分45秒 かかりました。
この数値は Windows7 + Atom Z540 + 高速 SSD の Netbook のおよそ 2倍です。
OS の起動自体はそれほど速くありません。

初起動後は若干遅めで、アプリ起動だけでなくメニューやホットキーの動作なども
ワンテンポ遅れる印象がありました。最初だけだったようで、しばらく使って落ち着いたら
それなりのレスポンス速度で動いています。


●画面

高密度できれいに見えます。
最初から太めで大きなフォントが使われているため見やすい画面です。

5インチ で 1024x600 なので この の計算式に当てはめると 約 237.4 ppi 。
LOOX U に負けるけど VAIO type P よりは高密度です。
KOHJINSHA PM は 4.8 インチなのでさらに細かく 247.3 ppi 。


● Ubuntu

本当にそのまま Ubuntu です。起動画面も desktop も見慣れたものです。
あくまで個人的な話ですが、vim も入っているしキーバインドも普段通りなので、買って
何のソフト導入もカスタマイズもせずにすぐ使用できたのは初めてかもしれません。


●ポインティングデバイス

キーボードの右上、ヒンジとの間に OPTICALPOINT が埋め込まれています。
きちんと設定して使ったら結構反応も良く使いやすそうです。

店頭でたまにカーソルが動かない端末がありましたがその原因も判明しました。
オプティカルポイントには「カーソルモード」と「ホイールモード」の2種類があって、
ホイールモードだとカーソルが動かずスクロール動作になる仕組みです。
「☆」マークまたは Fn +[9] で切り替わります。
おそらく店頭の端末もホイールモードに切り替わっていたため。
カーソルが出っぱなしだと固まったように見えるので少々分かりにくいところです。

PC-NJ70A で苦労させれた光センサー液晶パッドよりはレスポンスも良好です。

そういえば画面がタッチパネルであることをすっかり忘れていました。


●クイックスタートボタン

キーボードとヒンジの間、電源ボタンの隣に描かれているアイコンはタッチ式のボタンに
なっています。デフォルトで起動の遅いアプリが登録されているので、間違って触れてしまうと
ちょっとしたダメージが。
設定で無効にすることが出来なかったので「デスクトップの表示」にしておきました。


●通信

内蔵している通信手段は無線 LAN のみ。
Bluetooth が入ってないのは寂しいですが、おかげでまだ Bluetooth キーボードやマウスに
逃げることなく使っています。

UQ WiMAX の USB アダプタは、Windows でも x64 未対応だったりと期待できないので
必要な時はモバイルルータ URoad-5000 に頼るつもりです。


●キーボード

タッチタイピングによる入力は相変わらず敷居が高いです。
キーを打った後に定位置に吸い込むような感触が無く、むしろ球面を押し込むような反発
とぐらつきがあります。
キーを押したあとの指の位置が安定しないので、隣のキーを押してしまったりホーム
ポジションが徐々にずれたりします。指を離したときもわかりにくい。
まだあまり速く打てないけどだいぶ慣れてきました。


●用途

現状お勧めしづらいし、キーボードも配列以前のところでかなり使いづらい印象です。
それでもぎりぎり打てるサイズなので敢えて使いこなしてみたくなります。
正直割と気に入っています。
ネット接続よりも今のところは無謀にも文字入力用の端末として考えています。

CPU は Cortex-A8 だし、もし AMD Z430 の OpenGL ES 2.0 が使えるなら
また違う使い方が出来るでしょう。


関連エントリ
タッチタイプの境界
NetWalker PC-Z1
OpenGL ES 2.0
WiMAX ルータ URoad-5000 (4) 充電の仕方


昨日の表に仕様もいくつか追加してみました。

                 key pitch CPU                  RAM
KOHJINSHA PM       12.0mm  Atom Z510   1.1GHz 512MB  345g   7H  59800円
WILLCOM D4         12.2mm  Atom Z520   1.3GHz   1GB  460g 1.5H
HTC Shift          13.0mm  x86 A110    800MHz   1GB  800g   2H
Jornada680         13.2mm  SH3         133MHz  16MB  510g      138000円
Jornada720         13.2mm  StrongARM   206MHz  32MB  510g  10H  94800円
Libretto 20        13.5mm  DX4 75MHz    75MHz  20MB  840g   3H 178000円
NetWalker PC-Z1    14.0mm  Cortex-A8   800MHz 512MB  409g  10H  44800円
Loox U50X/V        14.0mm  x86 A110    800MHz   1GB  599g 3.8H 
Sigmarion II       14.1mm  MIPS VR4131 200MHz  32MB  500g  10H  
Sigmarion III      14.1mm  ARM PXA255  400MHz  64MB  455g  10H  
KOHJINSHA SK       14.2mm  Atom Z530   1.3GHz   1GB  720g 3.1H
Libretto 70        14.5mm  MMX Pentium 120MHz  32MB  850g   3H
Libretto 100       14.5mm  MMX Pentium 166MHz  64MB  950g   2H  
Loox U/C40         14.8mm  Atom Z530   1.6GHz   1GB  565g 4.2H
Libretto SS1000    15.0mm  MMX Pentium 166MHz  96MB  820g   3H
Libretto ff1100    15.0mm  MMX Pentium 266MHz 128MB  980g   3H
EeePC 901-X        15.5mm  Atom N270   1.6GHz   2GB 1100g 8.3H  59800円
VAIO type P 90     16.5mm  Atom Z540  1.86GHz   2GB  588g   4H
MobileGear MC/R530 16.5mm  MIPS VR4121 168MHz  32MB  770g  10H 110000円
MobileGear MC/R700 16.5mm  MIPS VR4121 131MHz  32MB 1100g   8H 155000円

RAM は搭載可能最大値、バッテリーは小または標準時。


関連エントリ
タッチタイプの境界


店頭で NetWalker PC-Z1 と KOHJINSHA PM (PM1WX16SA) を触ってきました。
タッチタイピング前提でどこまでキーを打てるか興味あったからです。

SHARP NetWalker
KOHJINSHA PM series

NetWalker はホームポジションに指を載せることが可能で、サイズの割にそこそこ
打てそうな印象でしたが予想以上に苦戦しました。なかなかタイピングのこつがつかめず
最初はキーの取りこぼしが多くてさんざんな結果に。
見かねた店員が 「両手でもって親指で打てばいいですよ」 とかアドバイスしてくれたほど。

キートップが不安定で、指先の感触だけでは入力出来たかどうか判断しづらいのが原因のようです。
文字を確実に打つには、指先の感触に頼らないで完全に底打ちするくらい押し込まなければ
なりません。

店頭の不安定な飾り台ではだめで、安定したテーブルの上に置いて指先に力を入れて強く
つぶし込む気持ちで打てば割と打てるようになりました。
ただこれだけ力を込めてタイプするなら、今まで敬遠しがちだった他のどのキーボードでも
使いこなす自信が付きそうです。

PM (mbook) はキーの感触が良く、NetWalker よりも軽く確実に打つことが出来ます。
問題はキーピッチの方で、ホームポジションにぎりぎり指を乗せられるか若干はみ出る感じです。
キー配列は PM の方が好みなのですが、やっぱり指が窮屈なのか速く打とうとすると
うまく文字を探せないことがありました。

キーピッチだけがすべてではないと思いますが、過去に使ったことがある端末および同系統の
機種を調べてみました。"*" は実際に所有して長時間使ったことがあるものです。

mbook M1/PM            12.0mm
Jornada680             13.2mm
Jornada720             13.2mm *
Libretto 20            13.5mm
NetWalker              14.0mm
Loox U50               14.0mm *
Sigmarion              14.1mm
Libretto 70            14.5mm
Libretto 100           14.5mm *
Loox U                 14.8mm
EeePC 901-X            15.5mm *
VAIO type P            16.5mm *
Mobile Gear II MC/R530 16.5mm *
Mobile Gear II MC/R700 16.5mm *
Let's Note R4          17.0mm *
PC Keyboard            19.0mm *

個人的に気に入っており、タッチタイプで打ちやすかったのが MC/R530 と Jornada 720。
当時はあまり意識しなかったけど Libretto 100 も普通に使っていた気がします。
今のところ 13mm 前後が境界線です。NetWalker のキーボードを確認するため、
長時間練習したことを考えれば 12mm も慣れたら何とかなるんでしょうか。

以下はキーピッチを調べる上で参考にしたページです。

PC watch Libretto 新機種
TOSHIBA Libretto 100 の発売について
製品マニュアル HP Jornada 720 ハンドヘルド PC
VAIO type P スペック
NECインフロンティア Mobile Gear Age
Wikipedia モバイルギア
Eee PC 1000H-X速攻レビュー
Panasonic レッツノートラインナップ比較表
工人舎「PM」~ワイシャツのポケットに入る超小型Windows PC
LOOX U カタログモデル仕様
Atom搭載「LOOX U」の進化ぶりを写真でじっくり解説する


iPhone 3GS 使っていて久しぶりに Safari が落ちました。
iPhone の偉いところは、一切ためらわずにアプリが即時落ちること。
この潔さは心地よいとすらいえます。

これが WindowsMobile や PocketPC だと…

・なんだかアプリが重くなってくる
・反応が鈍いなと思いつつ粘ろうとする
・しばらく円グラフがぐるぐる回って操作できなくなる
・さらにしばらく待って完全に固まったことを確認
・諦めてリセットボタンを押す
・起動するまでじっと待つ。1分以上かかる。

この間、実に数分間を無駄にすることになります。

iPhone では問題が発生したアプリが即時終了してくれるおかげで

・待たせない

  ユーザーが操作を選択できる状態に戻ります。
  すぐに同じアプリを立ち上げてページを開き直すことも出来ます。
  また落ちる可能性はありますが、不安定な状態で我慢して使い続けるよりは
  起動し直した方がましなはずです。
  もしくは、別の同等のアプリに切り替えるという選択も出来ます。
  何らかの対策ができるということ。

・システムを巻き込まない

  とりあえずすぐに電話受けられる状態に戻ってくれます。
  無限ループのようなリセットしなければならない状態は回避されます。

もちろん落ちないのが一番良いわけで根本的な解決はなっていませんが、
リセットするくらいの困った状況はほとんど無くなりました。

回復不可能なのに下手にエラーメッセージが出て待たせたり、固まったりするのは
一番避けるべきことだったのだと思い知らされました。


2009/09/08
NetWalker PC-Z1

SHARP から新しい端末 NetWalker PC-Z1 が出ます。
小型のノート PC の外観とスマートフォン向け CPU を組み合わせたもの。
かつて似たようなデバイスがあったことを思い出します。

ARM や MIPS など組み込み向けの CPU を搭載し、小型でバッテリー寿命長くて
キーボードを搭載した Handheld PC。WindowsCE H/PC Pro や H/PC 2000 のことです。
ポケットに入る小型なものから 9インチ 800x600 の液晶を持ったノート PC クラスまで、
結構いろんなタイプのハードが揃っていました。
普通の PC との違いは HDD が無く軽量の専用 OS を載せていること。
タッチを用いるなど操作性も違うし、動くソフトウエアも限られるけど、
普段からサスペンド状態ですぐ電源が入るなどそれなりに使う意味がありました。

今回の NetWalker が昔の WindowsCE を搭載した H/PC と違うのは
一般の Desktop / Notebook PC 向けにリリースされている Linux 環境を乗せていることです。
Linux ディストリビューションの一つ Ubuntu をそのまま採用しています。

実際ハード的にも ARM Cortex-A8 800MHz に RAM 512MB + SSD。
最初の Netbook もこれくらいの中身だったし、スペック的にも本当に Netbook に
近いことになります。

・初期の Netbook と同等のスペックを持つ
・デスクトップ向けの汎用 OS を使っている

これらが昔のハンドヘルド PC との大きな違いといえるでしょうか。
そこで今回はあえて NetWalker を ARM を使ったノート PC であると定義することにします。

ここで問題となるのは、Atom を使った 小型の PC とほとんど変わらなくなってくるということ。
例えば同じ Linux を動かすにしても、x86 の方が選択肢が多いし情報も多いし、ハードや
ソフトの対応状況を考えても有利ではないかと言うことです。x86 の小型の UMPC とか
Netbook とかに Linux を入れてもほぼ同じように使えるのではないかと考えられます。

それじゃ NetWalker の立場はどうなるのかといえば、それはおそらく
日本のメーカーがはじめて Linux (Ubuntu) だけ に対応した PC を売ろうとしている事実。
(すでに過去に存在していたらごめんなさい)

選択肢として Linux も選べるのではなく最初から Ubuntu だけ。
家電や携帯電話のように内部で利用しているわけではなく、デスクトップとして載せています。
x86 でないからこそできた決断だし x86 だったらメーカーもユーザーもここまで
割り切れなかったのではないでしょうか。

ARM シリーズの性能向上と Atom の省電力化により使われ方も近づいています。
そんな中、ARM を使った PC の特徴となり得るのは Windows を入れたくならないこと
ではないかと、NetWalker を見て思いました。

今後どのような展開になるか興味あるところです。