2012/11/15
Silicon Studio MOBILE GPUMARK のスコア比較
ベンチマークソフトを手持ちのデバイスで試してみました。
・Sillicon Studio MOBILE GPUMARK
iPad4 より iPhone5 の方が良い結果でした。
画面の解像度が小さい方が多少有利に働くのかもしれません。
SC-04D は非常に低速で、ひと通り完了を待つだけでもかなり時間がかかりました。
見かけの速度は速いですが、SGX540 はやはりひと世代前の GPU であることがわかります。
Galaxy S2 はそこそこのスコアですがディザがかかったような画面に見えるのが気になりました。
HONEYBEE 101K が突出した値に見えますが実は描画が正しく行われておりません。
もともとこの端末は OpenGL ES 2.0 で問題が生じることが多かったのですが、
GEMS,DP,NB の描画はラスタ状に一瞬見える程度でほとんど暗転しており、まるで
V-Sync を待たずにフレームバッファがクリアされているような画面になっています。
よってこのスコアは無効です。
GPU BENCHMARK の内容をさらに詳しく比較したのが下記の表です。
PowerVR 系は頂点(vert,spec)とピクセル(pix,norm)のスコアに極端な差が
ついていることがわかります。
Unified Shader である PowerVR 系はピクセル負荷が下がった分だけ頂点性能が
大きく向上します。
同じ Unified ながら全く性質が異なるのが Adreno 220 系で、
頂点(vert,spec)とピクセル(pix,norm)の差がわずかです。
全体の負荷を下げてもピーク性能が上がらない代わりに、ある程度複雑な
ピクセルシェーダーを走らせても性能が落ちにくい傾向があります。
Discrete Shader である Tegra は頂点性能が非常に高いことがわかります。
ピクセル負荷に影響を受けず、Tegra2 でもアンバランスに見えるほど
頂点スコアが高くなっています。
Tegra3 はピクセルも強化されていますが、PowerVR とは異なり
シェーダーの演算能力よりも fill が弱点になっているようです。
Tegra と正反対なのが同じ Discrete の Mali-400MP4 です。
4 core あるのはピクセルユニットだけなので、どうしても相対的に頂点性能が
足りないようです。
spec, pix を比べるとわかりますが、頂点でライティングするよりもむしろ
ピクセルでライティングした方が速くなっています。
GEMS, DP だけを見ると上位に食い込むスコアなので、NB を含めて
ハイポリ系が大きくスコアを落とす原因となっているようです。
HONEYBEE 101K では 420,800,1280 (YEBIS) の描画が完全に壊れていました。
よってこのスコアは正しくないことに注意してください。
それ以外は一見正しく描画されていましたが fill の値だけなぜか突出しています。
この機種だけ Android 2.3 であることも何か関係しているかもしれません。
実際のラインキングを見ると Snapdragon S4 (Adreno225/320) がかなり
上位を占めているようです。
・MOBILE GPUMARK - RANKING
ポストエフェクトなどスクリーン系エフェクトは TBDR の PowerVR 等とは
相性がよくなく、Mobile 系 GPU ではあまり用いられていませんでした。
このソフトでは非常によく動いており各種効果による違いもよくわかります。
PowerVR はかなり特徴が偏っているため、PC と同じアプローチだと他の GPU と
あまり差がつかないかもしれません。その点 Tegra の方が素直です。
また highp 演算が多い場合やピクセルの演算命令が複雑な場合は Adreno が有利です。
今後は様々な GPU が登場し、レンダリング手法も幅が広がってくるものと思われます。
Adreno 320 では TBR だけでなく Direct Rendering Mode も使い分けられるので、
このようなケースでも今まで以上に最適化が可能となるようです。
新しい世代の Adreno 320/Mali-T604 をまだ入手できていないので、
機会があればぜひ比べてみたいと思います。
関連エントリ
・iPad 4 Apple A6X GPU PowerVR SGX554 MP4 の速度
・Sillicon Studio MOBILE GPUMARK
MOBILE GPUMARK GEMS DP NB GPU Total --------------------------------------------------------------------- iPhone5 A6 PowerVR SGX543MP3 751 902 474 4068 6195 iPad4 A6X PowerVR SGX554MP4 665 729 429 3943 5757 iPad mini A5 PowerVR SGX543MP2 582 695 362 2852 4491 Nexus 7 Tegra3 ULP GeForce(12) 362 623 231 3271 4487 EVO 3D ISW12HT MSM8660 Adreno220 431 564 245 2235 3475 iPod touch5 A5 PowerVR SGX543MP2 385 450 239 2338 3412 Galaxy S2 SC-02C Exynos4210 Mali-400MP4 577 730 174 1196 2677 Optimus Pad L-06C Tegra2 ULP GeForce(8) 121 220 81 1838 2260 Galaxy Nexus SC-04D OMAP4460 PowerVR SGX540 160 161 63 1273 1657 HONEYBEE 101K APE5R PowerVR SGX543MP 407 572 240 10673 11892 ※無効 ・数値が大きいほうが高速。スコアは v1.0 時のもの ・GEMS=RIGID GEMS, DP=DEAD PARKING, NB= NATURAL BONE, GPU=GPU BENCHMARK ・CPU はすべて dual core 以上
iPad4 より iPhone5 の方が良い結果でした。
画面の解像度が小さい方が多少有利に働くのかもしれません。
SC-04D は非常に低速で、ひと通り完了を待つだけでもかなり時間がかかりました。
見かけの速度は速いですが、SGX540 はやはりひと世代前の GPU であることがわかります。
Galaxy S2 はそこそこのスコアですがディザがかかったような画面に見えるのが気になりました。
HONEYBEE 101K が突出した値に見えますが実は描画が正しく行われておりません。
もともとこの端末は OpenGL ES 2.0 で問題が生じることが多かったのですが、
GEMS,DP,NB の描画はラスタ状に一瞬見える程度でほとんど暗転しており、まるで
V-Sync を待たずにフレームバッファがクリアされているような画面になっています。
よってこのスコアは無効です。
GPU BENCHMARK の内容をさらに詳しく比較したのが下記の表です。
GPU BENCHMARK fill high many vert spec pix norm 420 800 1280 ------------------------------------------------------------------------------- iPhone5 PVR SGX543MP3 538 82 242 1013 871 343 310 364 203 102 iPad4 PVR SGX554MP4 403 137 296 765 726 412 393 234 269 172 iPad mini PVR SGX543MP2 484 62 158 640 560 241 222 274 144 67 Nexus 7 Tegra3 ULP GF(12) 185 56 116 828 571 288 235 667 218 107 EVO 3D 8660 Adreno220 283 98 123 384 378 320 279 191 132 47 iPod touch5 PVR SGX543MP2 286 39 130 601 513 183 164 243 123 56 Galaxy S2 4210 Mali-400MP4 253 37 26 193 138 159 145 196 29 20 Optimus Pad Tegra2 ULP GF(8) 75 22 77 572 409 125 102 317 98 41 Galaxy Nexus 4460 PVR SGX540 87 31 48 302 265 190 131 134 62 26 HONEYBEE101K PVR SGX543MP 7768 72 91 1038 595 385 416 161 102 45 ・数値が大きいほうが高速。スコアは v1.0 時のもの ・fill=Fill Test, high=High Polygon Model, many=Many Models ・vert=Per Vertex Lighting, spec=Per Vertex Lighting & Specular ・pix=Per Pixel Lighting & Specular, norm=Per Pixel Lighting & Specular & Normal Map ・420=YEBIS Resolution 420x234, 800=YEBIS Resolution 800x450, 1280=YEBIS Resolution 1280x720
PowerVR 系は頂点(vert,spec)とピクセル(pix,norm)のスコアに極端な差が
ついていることがわかります。
Unified Shader である PowerVR 系はピクセル負荷が下がった分だけ頂点性能が
大きく向上します。
同じ Unified ながら全く性質が異なるのが Adreno 220 系で、
頂点(vert,spec)とピクセル(pix,norm)の差がわずかです。
全体の負荷を下げてもピーク性能が上がらない代わりに、ある程度複雑な
ピクセルシェーダーを走らせても性能が落ちにくい傾向があります。
Discrete Shader である Tegra は頂点性能が非常に高いことがわかります。
ピクセル負荷に影響を受けず、Tegra2 でもアンバランスに見えるほど
頂点スコアが高くなっています。
Tegra3 はピクセルも強化されていますが、PowerVR とは異なり
シェーダーの演算能力よりも fill が弱点になっているようです。
Tegra と正反対なのが同じ Discrete の Mali-400MP4 です。
4 core あるのはピクセルユニットだけなので、どうしても相対的に頂点性能が
足りないようです。
spec, pix を比べるとわかりますが、頂点でライティングするよりもむしろ
ピクセルでライティングした方が速くなっています。
GEMS, DP だけを見ると上位に食い込むスコアなので、NB を含めて
ハイポリ系が大きくスコアを落とす原因となっているようです。
HONEYBEE 101K では 420,800,1280 (YEBIS) の描画が完全に壊れていました。
よってこのスコアは正しくないことに注意してください。
それ以外は一見正しく描画されていましたが fill の値だけなぜか突出しています。
この機種だけ Android 2.3 であることも何か関係しているかもしれません。
実際のラインキングを見ると Snapdragon S4 (Adreno225/320) がかなり
上位を占めているようです。
・MOBILE GPUMARK - RANKING
ポストエフェクトなどスクリーン系エフェクトは TBDR の PowerVR 等とは
相性がよくなく、Mobile 系 GPU ではあまり用いられていませんでした。
このソフトでは非常によく動いており各種効果による違いもよくわかります。
PowerVR はかなり特徴が偏っているため、PC と同じアプローチだと他の GPU と
あまり差がつかないかもしれません。その点 Tegra の方が素直です。
また highp 演算が多い場合やピクセルの演算命令が複雑な場合は Adreno が有利です。
今後は様々な GPU が登場し、レンダリング手法も幅が広がってくるものと思われます。
Adreno 320 では TBR だけでなく Direct Rendering Mode も使い分けられるので、
このようなケースでも今まで以上に最適化が可能となるようです。
新しい世代の Adreno 320/Mali-T604 をまだ入手できていないので、
機会があればぜひ比べてみたいと思います。
関連エントリ
・iPad 4 Apple A6X GPU PowerVR SGX554 MP4 の速度
2012/11/11
Windows Phone 8 SDK と Direct3D 11.1
Windows Phone 8 では描画 API として Direct3D が使えるようになっています。
iOS/Android から遅れること 3 年、WindowsPhone でもようやく Shader が
使えるようになりそうです。
・Microsoft Windows Phone SDK 8.0
WindowsCE だった WindowsMobile/WindowsPhone 7 までは、
Desktop の Intel/AMD、Mobile の ARM と OS だけでなく
アーキテクチャでも明確な切り分けが行われていました。
Windows 8 RT が Desktop / Tablet で ARM をサポートするようになり、
今後ハードウエアも OS/API も統合されていくものと考えられます。
Windows Phone 8 SDK では開発言語として Native C/C++ が使えるようになり、
描画 API も Direct3D がサポートされています。
iOS/Android 含めたプラットフォーム非依存の共通言語として期待できます。
もっとも WindowsCE の時代、WindowsMobile 6 までは Win32 API と C/C++ で
開発していたので WindowsPhone 7 だけが特別だったのかもしれません。
● Windows Phone 8 SDK
Windows Phone 8 SDK は開発環境が統合されており、
iOS の Xcode のようにインストールするだけで一式揃います。
WindowsCE 時代の eMbedded Visual Tools を思い出します。
注意点は、Windows Phone 8 SDK のインストールに Windows 8 x64 が
必須となっていることです。
その理由の一つに Windows Phone 8 Emulator の Hyper-V があるようです。
インストール時にオプション選択が無いので、対応 CPU では常に Hyper-V が
有効となり、未対応 CPU では Emulator 無しでインストールが行われます。
他の仮想 PC 系ソフトを併用している場合は競合することがあるので注意が必要です。
● Direct3D 11 10Level9
GPU 用 3D API は Desktop と同じ Direct3D11 です。
現時点で Windows Phone 8 が対応する feature level は 9_3 となっています。
よって GPU 機能は OpenGL ES 2.0 と同等で、
Direct3D 11 といっても Geometry/Hull/Domain/ComputeShader 等が
使えるわけではありません。
・Direct3D feature levels (Windows)
WindowsVista 登場時に Direct3D10 がリリースされましたが、
DirectX 9 以前とは方針が異なり、一切下位互換を持たない仕様でした。
Direct3D 9 以下 (ShaderModel 4.0未満) の GPU は切り捨てられ、
新しい Direct3D 10 API は Direct3D 10 対応 GPU (ShaderModel 4.0以上)
でなければ使えませんでした。
そのかわり caps といった細かなハードウエア機能のチェックが不要です。
その後 Windows 7 で更新された Direct3D 11 は再び路線を変更し、
DirectX 9 以前と同じように API セットのレベルと GPU のハードウエア機能の
レベルが分離されました。下位互換が復活しています。
・Direct3D 11 on DOwnlevel Hardware (Windows)
Direct3D 9/Direct3D 10 相当 (ShaderModel 5.0未満) の GPU でも
ドライバさえ対応していれば新しい API 経由で使えるわけです。
その代償として徐々に caps (feature level) が復活しつつあります。
Feature Level は blog の過去記事だとこのあたり↓で触れています。
・2008/11/09 Direct3D11/DirectX11 (4) FeatureLevel と旧 GPU の互換性、テクスチャ形式など
・2008/11/06 Direct3D11 Technical Preview D3D11の互換性、WARP Driver
● Windows 8 と Direct3D 11.1
メジャーアップデートだった Vista や 7 とは異なり、
Windows 8 の Direct3D は 11.0 から 11.1 と小規模な拡張にとどまっています。
特に Shader Model が 5.0 のままで、5.1 に更新されていないのは意外でした。
11.1 では GPU のハードウエア進化に合わせたハイエンド向けの機能拡張だけでなく、
むしろ Mobile GPU 向けの機能が大幅に追加されているようです。
時代を反映していると言えます。
例えば D3D11_FEATURE (Caps) の項目が 11.1 で著しく増えています。
Windows 8 RT や WindowsPhone 8 など OpenGL ES 2.0 GPU を
10Level9 でサポートするために必要になったと思われる項目が多数あります。
D3D11_FEATURE_DATA_ARCHITECTURE_INFO の
TileBasedDeferredRenderer はまさに Mobile GPU 向けの Caps で、
D3D11_FEATURE_DATA_D3D9_SHADOW_SUPPORT
SupportsDepthAsTextureWithLessEqualComparisonFilter も
ShaderModel 4.0 以降は標準のものです。
D3D11_FEATURE_DATA_SHADER_MIN_PRECISION_SUPPORT も
OpenGL ES 2.0 なら非常に馴染みが深い代物でしょう。
● Mobile GPU と演算精度
OpenGL ES 2.0 用 GPU で最適化を行う場合、シェーダーの演算精度は
非常に大きな問題となります。
shader 内で highp/mediump/lowp の適切な使い分けが要求されます。
・Mobile GPU の比較 : Precision
・OpenGL ES 2.0 GLSL precision 宣言と GPU 毎の演算精度を調べる
DirectX の場合、DirectX 9 初期 GeForce FX 5800 系の half 型以外では
演算精度を気にする必要がほとんどありませんでした。
11.1 の HLSL では GLSL の highp / mediump / lowp 同様、
最低限必要な演算精度を宣言ができるようになっています。
OpenGL ES 2.0 同様に、WindowsPhone 8 や Windows RT で
最適化する場合に必要になってくるものと思われます。
● ShaderModel 5.0 アセンブラ命令
いつの間にかマニュアルに載っていました。
アセンブラでシェーダーを記述するわけではありませんがデバッグ時に役に立ちます。
・Shader Model 5 Assembly (Windows)
Direct3D 10 (ShaderModel 4.0) 時代は載っていなかったので自分で調べていました。
・ShaderModel4.0 アセンブラ命令
● DirectX SDK
Windows Phone 8 SDK と同じように、
Desktop 向け Direct3D 11.1 SDK は Windows SDK に統合されています。
・Windows Software Development Kit (SDK) for Windows 8
VisualStudio Express 2012 for Windows Desktop の Windows SDK で
dll 番号を見ると 46 になっていました。
・DirectX SDK Version 一覧
関連エントリ
・2012/02/24 OpenGL ES 2.0 GLSL precision 宣言と GPU 毎の演算精度を調べる
・2008/11/09 Direct3D11/DirectX11 (4) FeatureLevel と旧 GPU の互換性、テクスチャ形式など
・2008/11/06 Direct3D11 Technical Preview D3D11の互換性、WARP Driver
iOS/Android から遅れること 3 年、WindowsPhone でもようやく Shader が
使えるようになりそうです。
・Microsoft Windows Phone SDK 8.0
WindowsCE だった WindowsMobile/WindowsPhone 7 までは、
Desktop の Intel/AMD、Mobile の ARM と OS だけでなく
アーキテクチャでも明確な切り分けが行われていました。
Windows 8 RT が Desktop / Tablet で ARM をサポートするようになり、
今後ハードウエアも OS/API も統合されていくものと考えられます。
Windows Phone 8 SDK では開発言語として Native C/C++ が使えるようになり、
描画 API も Direct3D がサポートされています。
iOS/Android 含めたプラットフォーム非依存の共通言語として期待できます。
もっとも WindowsCE の時代、WindowsMobile 6 までは Win32 API と C/C++ で
開発していたので WindowsPhone 7 だけが特別だったのかもしれません。
● Windows Phone 8 SDK
Windows Phone 8 SDK は開発環境が統合されており、
iOS の Xcode のようにインストールするだけで一式揃います。
WindowsCE 時代の eMbedded Visual Tools を思い出します。
注意点は、Windows Phone 8 SDK のインストールに Windows 8 x64 が
必須となっていることです。
その理由の一つに Windows Phone 8 Emulator の Hyper-V があるようです。
インストール時にオプション選択が無いので、対応 CPU では常に Hyper-V が
有効となり、未対応 CPU では Emulator 無しでインストールが行われます。
他の仮想 PC 系ソフトを併用している場合は競合することがあるので注意が必要です。
● Direct3D 11 10Level9
GPU 用 3D API は Desktop と同じ Direct3D11 です。
現時点で Windows Phone 8 が対応する feature level は 9_3 となっています。
よって GPU 機能は OpenGL ES 2.0 と同等で、
Direct3D 11 といっても Geometry/Hull/Domain/ComputeShader 等が
使えるわけではありません。
・Direct3D feature levels (Windows)
WindowsVista 登場時に Direct3D10 がリリースされましたが、
DirectX 9 以前とは方針が異なり、一切下位互換を持たない仕様でした。
Direct3D 9 以下 (ShaderModel 4.0未満) の GPU は切り捨てられ、
新しい Direct3D 10 API は Direct3D 10 対応 GPU (ShaderModel 4.0以上)
でなければ使えませんでした。
そのかわり caps といった細かなハードウエア機能のチェックが不要です。
その後 Windows 7 で更新された Direct3D 11 は再び路線を変更し、
DirectX 9 以前と同じように API セットのレベルと GPU のハードウエア機能の
レベルが分離されました。下位互換が復活しています。
・Direct3D 11 on DOwnlevel Hardware (Windows)
Direct3D 9/Direct3D 10 相当 (ShaderModel 5.0未満) の GPU でも
ドライバさえ対応していれば新しい API 経由で使えるわけです。
その代償として徐々に caps (feature level) が復活しつつあります。
Feature Level は blog の過去記事だとこのあたり↓で触れています。
・2008/11/09 Direct3D11/DirectX11 (4) FeatureLevel と旧 GPU の互換性、テクスチャ形式など
・2008/11/06 Direct3D11 Technical Preview D3D11の互換性、WARP Driver
● Windows 8 と Direct3D 11.1
メジャーアップデートだった Vista や 7 とは異なり、
Windows 8 の Direct3D は 11.0 から 11.1 と小規模な拡張にとどまっています。
特に Shader Model が 5.0 のままで、5.1 に更新されていないのは意外でした。
11.1 では GPU のハードウエア進化に合わせたハイエンド向けの機能拡張だけでなく、
むしろ Mobile GPU 向けの機能が大幅に追加されているようです。
時代を反映していると言えます。
例えば D3D11_FEATURE (Caps) の項目が 11.1 で著しく増えています。
Windows 8 RT や WindowsPhone 8 など OpenGL ES 2.0 GPU を
10Level9 でサポートするために必要になったと思われる項目が多数あります。
D3D11_FEATURE_DATA_ARCHITECTURE_INFO の
TileBasedDeferredRenderer はまさに Mobile GPU 向けの Caps で、
D3D11_FEATURE_DATA_D3D9_SHADOW_SUPPORT
SupportsDepthAsTextureWithLessEqualComparisonFilter も
ShaderModel 4.0 以降は標準のものです。
D3D11_FEATURE_DATA_SHADER_MIN_PRECISION_SUPPORT も
OpenGL ES 2.0 なら非常に馴染みが深い代物でしょう。
● Mobile GPU と演算精度
OpenGL ES 2.0 用 GPU で最適化を行う場合、シェーダーの演算精度は
非常に大きな問題となります。
shader 内で highp/mediump/lowp の適切な使い分けが要求されます。
・Mobile GPU の比較 : Precision
・OpenGL ES 2.0 GLSL precision 宣言と GPU 毎の演算精度を調べる
DirectX の場合、DirectX 9 初期 GeForce FX 5800 系の half 型以外では
演算精度を気にする必要がほとんどありませんでした。
11.1 の HLSL では GLSL の highp / mediump / lowp 同様、
最低限必要な演算精度を宣言ができるようになっています。
OpenGL GLSL Direct3D HLSL -------------------------------------- highp float float mediump float min16float (half) lowp float min10float
OpenGL ES 2.0 同様に、WindowsPhone 8 や Windows RT で
最適化する場合に必要になってくるものと思われます。
● ShaderModel 5.0 アセンブラ命令
いつの間にかマニュアルに載っていました。
アセンブラでシェーダーを記述するわけではありませんがデバッグ時に役に立ちます。
・Shader Model 5 Assembly (Windows)
Direct3D 10 (ShaderModel 4.0) 時代は載っていなかったので自分で調べていました。
・ShaderModel4.0 アセンブラ命令
● DirectX SDK
Windows Phone 8 SDK と同じように、
Desktop 向け Direct3D 11.1 SDK は Windows SDK に統合されています。
・Windows Software Development Kit (SDK) for Windows 8
VisualStudio Express 2012 for Windows Desktop の Windows SDK で
dll 番号を見ると 46 になっていました。
・DirectX SDK Version 一覧
関連エントリ
・2012/02/24 OpenGL ES 2.0 GLSL precision 宣言と GPU 毎の演算精度を調べる
・2008/11/09 Direct3D11/DirectX11 (4) FeatureLevel と旧 GPU の互換性、テクスチャ形式など
・2008/11/06 Direct3D11 Technical Preview D3D11の互換性、WARP Driver
2012/11/04
iPad 4/iPad mini A6X/A5 の CPU/GPU 速度
CPU の結果も追加しました。
今回から CPU もグループごとに速い順に並び替えています。
・CPU benchmark
GPU に iPad mini も追加しました。
・Mobile GPU bench mark
CPU/GPU ともに刷新された A6X が最速です。
GPU はより上位のプロセッサに置き換わってますがまだ同世代。
CPU と同じようにそろそろ次のアーキテクチャが出てきても
良いのではないでしょうか。
CPU では iPad mini の方が iPod touch 5 より速いですが
GHz あたりの演算速度ではほぼ同一の値です。
同じ A5 であることがわかります。
関連エントリ
・iPad 4 Apple A6X GPU PowerVR SGX554 MP4 の速度
・iPhone 5 / iPod touch 5 の GPU 速度
・iPad 3 PowerVR SGX543MP4 の速度
今回から CPU もグループごとに速い順に並び替えています。
・CPU benchmark
GPU に iPad mini も追加しました。
・Mobile GPU bench mark
CPU/GPU ともに刷新された A6X が最速です。
GPU はより上位のプロセッサに置き換わってますがまだ同世代。
CPU と同じようにそろそろ次のアーキテクチャが出てきても
良いのではないでしょうか。
CPU では iPad mini の方が iPod touch 5 より速いですが
GHz あたりの演算速度ではほぼ同一の値です。
同じ A5 であることがわかります。
関連エントリ
・iPad 4 Apple A6X GPU PowerVR SGX554 MP4 の速度
・iPhone 5 / iPod touch 5 の GPU 速度
・iPad 3 PowerVR SGX543MP4 の速度
2012/11/02
iPad 4 Apple A6X GPU PowerVR SGX554 MP4 の速度
iPad 4 のベンチマークスコアを追加しました。
Apple A6X の GPU はこれまでの PowerVR SGX543 とは別のもので、
PowerVR SGX554 でした。
同じ 4 core でも性能的に公称 2倍。
実際のベンチマークでも 2~3 倍の速度が出ています。
・Mobile GPU bench mark
Retina で Pixel 数が 4倍もあるにもかかわらず、
実際の動作速度で iPad 2 を超えているケースも少なくありません。
描画だけでなく CPU core 自体も大きく高速化されており、
システム全体として非常にパワフルになった印象です。
特に PowerVR SGX554 はシェーダーの演算能力自体が上がっているようで、
これまで苦手としてきたシェーダー負荷が高いケースでもきちんと速度が
出るようになっています。
間違いなく現時点では最速に分類され、
Retina や Mobile GPU であることを言い訳にできなくなっています。
ただし今のところ Extension に違いはなく、PVRTC2 や OpenGL ES 3.0
に向けた新しいフューチャーに対応しているかどうかは不明です。
今年になって CPU core も GPU core も世代交代が進んでいます。
A6, Krait, Cortex-A15 といった CPU core だけでなく、
Adreno 320, Mali-T604 等 OpenGL ES 3.0 世代の GPU も揃って来ました。
あとは OS や SDK の対応を待つばかりです。
OS の対応が始まれば世代交代はさらに早まるものと考えられます。
関連エントリ
・iPhone 5 / iPod touch 5 の GPU 速度
・iPad 3 PowerVR SGX543MP4 の速度
Apple A6X の GPU はこれまでの PowerVR SGX543 とは別のもので、
PowerVR SGX554 でした。
同じ 4 core でも性能的に公称 2倍。
実際のベンチマークでも 2~3 倍の速度が出ています。
・Mobile GPU bench mark
Retina で Pixel 数が 4倍もあるにもかかわらず、
実際の動作速度で iPad 2 を超えているケースも少なくありません。
描画だけでなく CPU core 自体も大きく高速化されており、
システム全体として非常にパワフルになった印象です。
特に PowerVR SGX554 はシェーダーの演算能力自体が上がっているようで、
これまで苦手としてきたシェーダー負荷が高いケースでもきちんと速度が
出るようになっています。
間違いなく現時点では最速に分類され、
Retina や Mobile GPU であることを言い訳にできなくなっています。
ただし今のところ Extension に違いはなく、PVRTC2 や OpenGL ES 3.0
に向けた新しいフューチャーに対応しているかどうかは不明です。
今年になって CPU core も GPU core も世代交代が進んでいます。
A6, Krait, Cortex-A15 といった CPU core だけでなく、
Adreno 320, Mali-T604 等 OpenGL ES 3.0 世代の GPU も揃って来ました。
あとは OS や SDK の対応を待つばかりです。
OS の対応が始まれば世代交代はさらに早まるものと考えられます。
関連エントリ
・iPhone 5 / iPod touch 5 の GPU 速度
・iPad 3 PowerVR SGX543MP4 の速度